対談
「人が主役のテクノロジー」が創る教育DXの未来
株式会社POPERと京進グループが築くパートナーシップの力
教育や介護の現場では、「目の前の人に尽くしたい」という熱意があるにもかかわらず、煩雑な事務作業や非効率なシステムによって、その想いが阻害されてしまうという課題が長年存在しています。
この「もどかしさ」をデジタルの力で解消し、現場の人が「本来やるべきことに集中できる未来」を創造しているのが、京進グループのDX推進を支える株式会社POPERです。同社の代表取締役である栗原氏が創業の原点とするのは、「人が主役のテクノロジー」という揺るぎない価値観。
本記事では、その挑戦的な姿勢と、京進グループとの間に築かれた深い「信頼」と「共感」のパートナーシップから生まれる、教育・介護DXの未来に迫ります。
【原点】教育の現場課題を知るからこそ:事務作業を減らし「対話の時間」を創出する
京進グループの企業グループビジョン「ステキな大人が増える未来をつくる」というコンセプトに共鳴するように、株式会社POPERもまた、テクノロジーを導入する目的を明確に持っています。創業の背景にある原点、そして、常に大切にしている「人」を軸とした価値観について伺いました。

株式会社POPERが創業当初から大切にされている、根幹となる価値観について教えてください。
元々、私自身が小さな塾の経営に関わっていたのですが、そのときに強く感じた現場の課題を解決するために「Comiru(コミル)」というシステムを作ったのが創業のきっかけです。 その原点があるため、私たちの価値観として最も大事にしているのは、テクノロジーを使って「本当に意味で現場の人たちが助かるものかどうか」という視点です。
テクノロジーの導入自体が目的になってしまい、手段と目的が逆転してしまうと、結果として現場の業務が以前よりも大変になってしまう事態も起こり得ると考えています。 私たちは、そうした事態を起こさないために、システムそのものの改善はもちろん、クライアントである講師の方々とコミュニケーションを取り続けながら進めていくことが大事だと考えています。 だからこそ、「人が主役のテクノロジー」という価値観をすごく大事にしたいと思っています。
栗原代表が、小さな塾を経営されていたときに特に強く感じた「現場の課題」とは、どのようなものでしたか?
特に大変だったのは、請求業務や指導報告などの事務作業です。私の場合は、生徒30〜40人分を月に1回まとめて書くという作業を一人でやっていました。
毎月、月はじめの3~4日間は、授業以外の時間を全てこれらの作業に費やし、生徒からの質問も受けられない状況になっていました。 もちろん、すべてが必要な業務ではないかもしれませんが、自動化できる部分は徹底的に自動化し、空いた時間を「保護者対応や保護者とのコミュニケーション」に充てられるようにすることが重要だと考えました。 その思いが形になったのが、現在のComiru(コミル)というサービスになっています。
サービスを展開されてきて、お客様からはどのような声が届いていますか?
お客様からは、シンプルに「本当に時間がめちゃくちゃ空いた」だとか、「授業中の電話がなくなってすごい楽になりました」といった声を多くいただいています。 特に電話ベースではなかなか伝えにくかった指導内容なども、アプリを通じて保護者から感謝の声を伝えていただけるようになり、「感謝の言葉を受け取って嬉しくなりました」という声もありました。
Comiruを導入いただくことで、現場の先生方が「少なくとも生徒や保護者と向き合う時間の余裕はできた」のではないかと感じています。 その余裕を、お客様側でどういう価値に変えてもらうか、というところを常に意識しています。
システムは「作って終わり」ではない:お客様の課題に真摯に向き合う開発文化
株式会社POPERは、創業の原点である「現場を助ける」という価値観をベースに、教育事業の非効率を変えるDXに本気で挑戦しています。同社の事業内容と、その現場変革への取り組みについて伺いました。

株式会社POPERの事業内容について、改めてご紹介いただけますでしょうか。
弊社は、塾・習い事向けのコミュニケーションサービス「Comiru(コミル)」を提供しています。このサービスを通じて、教育現場の事務作業の効率化と、保護者・生徒とのコミュニケーション円滑化を支援しています。
特に、京進グループとの取り組みでは、コロナ禍において教室に来られない状況でのデジタルコミュニケーションをサポートする役割から始まりました。 その後、座席管理機能など、徐々に「より業務の深い部分」に入り込んでいくような機能へと展開いただきました。
現場の課題に真摯に向き合う貴社の企業文化について、具体的に聞かせください。
他社と比較しても、お客様の課題に対して「真摯に向き合おうとする気持ち」は高い方だと自負しています。 カスタマーサクセスや事業側の人間は、常に「もっと改善してほしい」という想いを持っています。
それを受け入れる弊社のエンジニアチームの力が特殊だと感じています。 技術的な理由で諦めてしまう会社もある中で、弊社の開発チームは、事業側からの要望を「聞く力」を持ってくれています。 主張すれば必ず実装を検討してくれるという信頼があるからこそ、事業側も「もっと改善できる」と思い続けてもらえているように思います。
社員の方々がその価値観を共有するために、どのような取り組みをされていますか?
毎月の全社会や、社内のSlackにある「タイムス」という日報的なスペースで、私自身の考えを発信するようにしています。 特に「お客さんに対してこうやって真摯にやってきたから、こういうことがあった」というような、お客様に誠実に向き合ったエピソードのつぶやきは、社員のリアクションが非常に良いです。
社員も「お客様への誠実な姿勢」を求めていて、そういうのを好きなんだなと感じています。 また、この対談のような「お客様の生の声」を、マニュアル作成や地道なテストを行っているフロントに立てないメンバーなど、社員全員に聞かせてあげたいと常に思っています。彼らが勇気づけられるだろうと感じるからです。

【協創】ベンチャーから上場企業へ:信頼関係で挑む「SaaS×スクラッチ」の未来
京進グループと株式会社POPERのパートナーシップは、単なるベンダーとクライアントの関係ではなく、深い信頼関係と未来への挑戦に基づいています。両社がどのように協創し、新しいシステム構成を生み出したのかを伺いました。
京進グループとパートナーになった具体的な経緯と、その時の印象を教えていただけますか。
弊社に投資をしてくれた企業からの紹介で、お会いしたのが最初です。当時、弊社は社員が15人ほどの本当のベンチャーで、京進さんとはお付き合いに至らないだろうという印象でした。
しかし、2019年の展示会で京進の当時の課長が弊社のブースに強く関心を持ってくださり、その後の訪問機会をいただきました。 最終的に契約したのは2020年ですが、当時注目され始めていたSaaS(サース)の活用を検討されていた中で、既にサービスを展開していた弊社が選択肢の一つに入ったのだと感じています。
ベンチャー企業との協業には、京進側にも大きな決断があったかと思います。契約に至った決め手は何だとお考えですか?
「まさか契約をいただけるんですか」というのが、率直な感想でした。当時の塾業界では、オーナー企業が多く、大手企業との取引経験も少なかったため、正直なところ、「うちと取引してくれないだろう」というのが第一印象でした。
しかし、お付き合いするようになってから、幹部の方をはじめ、京進の多くの方とコミュニケーションを取らせていただく中で、「すごく優しい方が多い」という印象が強くありました。 京進さんは組織化もされ、上場もされていますが、私たちのようなベンダー側からすると、「いい人が多い会社」という認識で、カルチャー的にも近しいところがあると感じています。それが、パートナーシップを進める上での大きな要因になったと思っています。
現在進めている、京進専用のシステム刷新プロジェクトにおける「スクラッチとSaaSの融合」という挑戦について教えてください。
今まさに取り組んでいるのが、京進さんの基幹システム全体を刷新するプロジェクトです。これは、「スクラッチ開発」(ゼロからすべてを自社専用に作る)とSaaS(汎用的なクラウドサービス)の「融合」という、先進的なシステム構成で考えているプロジェクトです。
京進さんは、顧客データベースの部分など「自分たちの本当の資産になる部分」は自社で持ちつつ、それ以外のアプリケーションレイヤーにはComiruも使うという判断をされました。 私たちは、標準のComiruの機能に加えて、京進専用の機能を作って基幹システムと繋ぐという役割を担っています。 SaaS企業が専用機能(スクラッチ)の開発も請け負うのは大きな舵切りですが、京進さんとだからこそ、この新しい挑戦を柔軟に進めていくことができていると感じています。
京進とのパートナーシップを通じて、特に信頼を感じたエピソードはありますか?
これまで5年間のプロジェクトの中で、システム的にご迷惑をおかけしてしまったり、順風満帆ではない様々な課題がありました。 その際は、弊社の非を認めつつも、京進さん側でも「こういうところを改善しなくちゃいけないよね」という話を必ずしてくださるのです。
以前、弊社のメンバーが謝罪に伺った際に、「うちもうちで改善が必要」という言葉をかけてくださったことで、そのメンバーが涙ぐんだというエピソードがあります。 ベンダー側の我々からすると、そういう信頼関係があるからこそ、「もっと頑張らないと」というモチベーションが湧き、一緒に未来を作っていきたい、貢献していきたいという気持ちに繋がっています。


スキル以上に情熱を重視:フルリモートと育休実践で証明する「人を大切にする働き方」
最後に、株式会社POPERの目指す未来、そして共にその未来を創る「ステキな大人」の定義について伺いました。
栗原社長が考える「ステキな大人」とは、どのような存在ですか?
「ステキな大人」というのは、やはり「常に学んでいる人」だと考えています。その裏返しとして、「自分はまだまだ知らないことがたくさんあるんだ」という自覚が強い人です。
年齢などに関係なく、いろんな人から学び、いろんな物事から吸収しようという気持ちを持っている人は、すごく素敵だと感じています。 なぜそうした気持ちを持ち続けられるのかというと、その人にとっての生きる目的や目標があり、それを達成したいという情熱があると思うからです。
いい意味で「自分はまだまだ未熟なんだな」という謙虚さを持ち、そこから吸収していこうという姿勢が、その人の魅力や素敵なところに繋がってくるのだと思います。
栗原代表ご自身も、働き方について先進的な取り組みを実践されていると伺いました。
私は、東京の高尾山からさらに山梨県方面へ行った、田舎へ移住しました。そして、会社をフルリモート体制に移行するという決断をしました。これは、自分の家庭がフルリモートでないと回らないという、個人的な理由から始めたことです。
しかし、社長自らが田舎への移住とフルリモートを実践することで、「社員にとっても本当に良いのだ」ということを証明する形になっているかと思います。 また、3人目の子どもが生まれた際には、「育休」を取得してみて、「全然足りないな、半年ぐらい取ったほうがいいんじゃないか」と実感しました。 家庭を大切にするという姿勢が、結果的に社員全体の「働き方を大切にする文化」に繋がればと考えています。
これから京進グループと共に目指したい未来の展望について教えてください。
どこも言うと思いますが、今後は「AIをどう使うか」が非常に重要なポイントになってくるでしょう。ビッグプレイヤーが提供するAIを、自分たちの強みとどう融合させるか、が重要になります。
私たちの強みは、Comiruを通じてお客様に使っていただき、その中に溜まっている「本当に独自なデータ」です。このデータを持っていること自体がお客様にとって非常に重要です。 このデータをAIに活用し、分析のための時間を効率化するなど、現場の先生方がさらに生徒と向き合えるようになるための「個別最適化」の事例を、これから作っていきたいと思っています。
技術は人のために:京進と株式会社POPERが共鳴する「人を大切にするDX」
株式会社POPER 栗原代表へのインタビューを通じて、同社の根幹にあるのは、テクノロジーはあくまで「人が主役」であるべきだという揺るぎない価値観であることが強く伝わってきました。
それは、京進グループが創業以来大切にしてきた「人を大切にする」企業文化と深く共鳴しています。技術は人のためにあり、現場の非効率を解消して、講師や介護スタッフが「本来の使命」に集中できる未来を創る。これが両社共通の信念です。
京進はこれからも、この「人を大切にする」価値観と「学びを大切にする姿勢」を軸に、株式会社POPERをはじめとする信頼できるパートナー企業と共に、教育・介護のDXという未来の展望に挑戦します。

